病気について

病気について

当院では、あらゆる精神疾患に対応できる体制を整えています。「統合失調症」「気分障がい」「認知症」は、比較的多い精神疾患ですが、その他にも下記の症状などでお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

  • 眠れない
  • 不安感や緊張がとれない
  • 食欲がない
  • 気分が沈んでしまう
  • 他人には分かってもらえない症状がある

統合失調症

統合失調症は、脳の様々な働きをまとめることが難しくなる病気で、幻覚や妄想といった陽性症状と、意欲の低下、感情表現が少なくなってしまうなどの陰性症状があります。陽性症状で現れる、幻覚とは実際にはないものをあるように感じる知覚の異常で、中でも自分の悪口やうわさなどが聞こえてくる幻聴は、しばしば見られる症状です。妄想とは明らかに誤った内容を信じてしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない考えが現れる症状です。こうした幻覚や妄想は、本人にはまるで現実であるように感じられるため、病気の自覚がないことも多いです。

治療法には、薬物療法の継続が重要ですが、並行してリハビリテーションや生活訓練をすることで効果が期待できます。回復までの道のりは人によって様々で、症状が安定しても「生活のしづらさ」といった疲れやすさや対人関係が苦手といった状態が残ることもありますので、御本人も御家族も焦らないことが重要になってきます。

気分障がい

通常範囲を超えた落ち込み、または高揚した気分・感情の変化が2週間以上続くとき、気分障がいがうたがわれます。代表的なものに「うつ病」、「双極性障がい(躁うつ病)」があります。

うつ病

うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なることなど、様々な理由から脳の機能障がいが起きている状態です。脳がうまく働いてくれないため、ものの見方が否定的になり、自分がダメな人間だと感じてしまい、そのため普段なら乗り越えられるストレスも、普段より強く感じられ、悪循環が起きていきます。

治療法には、薬による治療とあわせて、認知行動療法(CBT)をはじめとした精神療法を行うことで高い治療効果を期待できます。また、早めに治療を始めるほど、回復も早いといわれていますので、無理せず早めにご相談されること、そしてゆっくり休養をとることが重要となります。

双極性障がい(躁うつ病)

双極性障がいは、一般的な気分の高揚を超えたハイテンションで活動的な躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態をくりかえす病気です。躁状態になると、眠らなくても活発に活動したり、次々にアイデアが浮かんだり、自分を誇大的に捉えたり、後先考えず大きな買い物やギャンブルなどに多額のお金をつぎ込んでしまうといった症状が見られます。易怒性と呼ばれる怒りっぽさがみられる場合もあります。一方、うつ状態はうつ病と同じように死にたいほどの重苦しい気分におしつぶされそうになり、更に躁状態の時の自分に対する自己嫌悪も加わり、ますますつらい気持ちに陥ることがあります。

治療は、基本的には薬物療法を行いながら、自己をコントロールする為の援助を行う精神療法を行っていきます。但し、躁状態ではとても気分がよく、本人には病気の自覚がありませんので、本人だけでなく、周囲の人も、日頃の様子や気分の波を見守り、躁状態に気づくことが大切です。

認知症

認知症とは、正常に働いていた脳の機能が低下することで、記憶や思考への影響がみられる病気で、不安・焦り・睡眠障がい・徘徊・家族への依存・暴力および、せん妄といったBPSDと言われる行動障がいや精神症状が出現することもあります。また、認知症にはいくつか種類があります。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、脳神経が変性して脳の一部が萎縮することで脳の機能が低下するもので、現在の日本では最も多い認知症の種類となっています。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障がいによる認知症で、脳の血流の悪いところに症状が現れるため一部の記憶は保たれている「まだら認知症」が見られます。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、異常なタンパク質が脳の中に現れることで発病すると考えられている認知症で、手足の震えなどが起こるパーキンソン症状や幻視が症状としてらわれます。日や時間により症状の変動が大きく、初期には比較的記憶が保たれていることが多いとされています。

認知症を完全に治す治療法は現在まだございません。そのため、早期発見、早期治療によって薬物療法やリハビリテーションなどを活用し、できるだけ症状を軽くして、進行の速度を遅らせることで穏やか生活を長く送っていいただく事が治療目的となります。また、認知症の症状が現れた際に、その原因が慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症、うつ病などの場合、原因疾患の治療により認知症が治癒するケースも少なくありません。認知症が疑われる際には、出来るだけ早く認知症専門外来を有する専門医療機関にご相談ください。

治療について

入院治療は、従来の統合失調症中心から、うつ病、重度の認知症性疾患をはじめ、依存症や発達障がいなど多様化しています。当院では、精神科医療の質を高め、効率的な医療を提供するために、患者さまそれぞれの病状に合わせた治療環境を整備しています。

修正型電気けいれん療法(m-ECT)

治療について

電気けいれん療法は70年以上の歴史があり、アメリカでは年間に約10万人の患者さんが受けている、精神科治療の一つです。現在行われている修正型電気けいれん療法では、麻酔科医立ち合いのもと、専用の装置(サイマトロン)を使用して脳に電気刺激を与えます。うつ病や躁うつ病、統合失調症などに対して改善率や安全性が高く、薬でなかなか治らない方や薬の副作用が強く出るために薬物療法が難しい方に対し実施します。

治療抵抗性統合失調症治療(クロザピン治療)

治療について

治療抵抗性統合失調症治療に使われるクロザピンは、一般的な抗精神病薬での治療が困難な難治性の統合失調症にも有効なお薬です。クロザピン治療では、退院して社会での自立した生活を目指すことはもちろんですが、それ以上に、長期的に重症な患者さん、また頻繁に重症化を繰り返す患者さんに対し、症状が軽快し退院に向けた準備ができる程度への回復を目指す治療として実施するものです。